女性いきいき大賞 第17回表彰団体紹介

受賞団体

最優秀賞(山口県知事賞)

Kananowa
(子育て分野/下関市)

活動の動機

PTA活動にかかわる中、学校での子どもたちの様子を垣間見るたびに、「何かできることはないか」「でも私一人の力で何ができる」とジレンマを抱えていたけれど、35歳という若さで亡くなられた教師の荒木佳奈さんの手記を読むことで、佳奈さんの思いやメッセージを伝え、実際に行動に移していくことを決意。佳奈の輪=「Kananowa」を立ち上げた。

活動の目的

命の大切さを伝えながら、その子が本来持っている可能性を育み、未来へとつなげていきたい。そのための学びと実践について地域に発信していくことを目的に活動していく。

活動の内容

親や学校の負担を軽減して、子供たち一人ひとりに寄り添う以下のような、照子親(てらこや)活動を展開している。

  1. 1.中学生を対象とした夜の勉強会(補充学習の場)
    代表の自宅を開放して、ほぼ毎日行われる。地域のお母さんボランティアによる夜食もふるまわれる。9月からは受験生を中心に「受験生がんばれ!夜の勉強会」を毎日開催。

  2. 2.夏休み勉強会(7/21~8/24平日、ほぼ毎日)
    午前中は小学生から中学生、午後は中学生を対象に現役やOBの先生、高校生、大学生、地域の大人が勉強を教えに来てくれる。 昼食は120~150食程度のお弁当を毎日、地域の保護者や、卒業した高校生らが作る。

  3. 3.子供たちだけで参加できる自然体験活動の場の提供
    魚釣り、たけのこ掘り、宿泊学習でのカヌー体験など。

  4. 4.学校や地域、まちづくり協議会と連携した活動
    ・Happiness食堂 学校の家庭科室を活用して、中学生がお弁当を作る。
    ・Happiness学習 小学生は、お弁当が出来上がるまでの間、地域のボランティアに教えてもらいながら勉強をする。
    ・「花いっぱい運動」「赤い羽根共同募金活動」「ハロウィン仮装卓球大会」などに参加。

これからめざしたいこと

場所は学校が提供、食事作りや学習支援は地域のボランティア、資金や足りない人材援助は地域社会や行政が助ける。こうしたコミュニティスクールの仕組みをより広い地域で活かしていくと同時に、地元の企業とも手を携え、産業や職業に興味をもって「この街にいたい」と思う子供たちを一人でも多く育てていきたい。

選考委員長講評

梅光学院学院長・梅光学院大学学長
樋口 紀子

「女性いさいき大賞」は今回で17回目を迎えました。今回の応募団体は21団体で、応募数としては去年同様少ないですが、コロナ禍にあっても工夫をして活動を継続していた団体が応募して下さっています。また、去年と同様に新規応募団体(14団体)が多かったことも今年の特色です。また、子育て分野では子どもを育てるというよりも、生きづらい子どもたちが増えている中、そのくらしを社会で守るという活動が多く、社会問題の提起と考えられます。

1次選考では12団体にしぼり、2次選考で優秀賞4国体を、その中から最優秀賞を選びました。評価基準は活動の継続性、地域への広がりやその影響力、独自性、今後の可能性等です。

最優秀賞は厳正な審査の結果、最優秀「Kananowa」(子育て分野/下関市)が選ばれました。今、社会の中で生きづらさを感じている子どもたちに対して、何とかしようという思いを持って活動していることが評価されたからです。奨励賞の3団体も今後の活躍が期待されるということで選ばれました。学生の部では「子ども居場所づくりボランティア」が受賞しました。コロナ禍でも活動が継続されたことが評価されました。
最優秀賞、優秀賞団体の授賞理由は以下の通りです。

「Kananowa」
(最優秀賞・山口県知事賞):子育て分野

難病で他界した元教師の生き方に触発されて団体を立ち上げ、その後、ほぼ毎日自宅を開放し、学習を手助けするだけではなく、夜食までを提供するという子どもたち一人ひとりの状況に寄り添う活動が評価されました。その行動力や実行力に頭が下がる思いがします。また、地域のボランティア、企業や他団体とのつながりが活動を支えている面は、これからのボランティア団体の活動の指針を示すものでもあると思います。この団体を中心に子どもを支える社会の仕組みづくりができるよう期待しています。

「特定非営利活動法人ふらっとコミュニティ」
(優秀賞・朝日新聞社賞):福社分野

精神障害やひきこもりの人たちの居場所づくりをしている団体です。中高年のひきこもり者が増える中、両親が高齢になり社会問題となっています。また、努力して就労しても、それが継続されるためにはアフターフォローも必要です。非常にセンシティブな環境の中、当事者たちが少しでも居心地よく、来たくなる居場所づくりに尽力、「まれていることが評価されました。

「阿東を盛り上げたい女性のネットワーク(あともり)」
(優秀賞・yab山口朝日放送賞)
:地域づくり分野

中山間地域で、高齢者の多い阿東地域を盛り上げようと、様々なイベントを企画したり、工夫して、特に女性を阿東に呼び込む活動をしているところが評価されました。地方に行けば行くほど、高齢者や男性といった方たちが目立つ中、若い女性が田舎で暮らすことをネガティブに捉えず、田舎暮らしの楽しさを伝えていこうとする団体への注目度は高いと思われます。

「チャイルドラインしものせき」
(優秀賞・山口新聞社賞):くらしづくり分野

11年間地道に全国の子どもの「声』を聴き続けてきた活動が評価されました。「声」を聴き続けることは、献身的でとてもエネルギーのいる活動だと思われます。そして、その「声」を聴いてもらった子どもたちは生きる勇気や元気をもらったであろうことが容易に想像できます。この子どもの暮らしを支える活動はもっと光を当てるべきだとの意見もあり、優秀賞を差し上げることとなりました。